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欠けている仏さまをこよなく愛する集団「欠け佛部」(部員一名)の部長によるBLOG
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嗚呼

あなたは
どうやってつくられ
祀られ
その手足を失ったのか

なぜ隠され 
眠りにつき
再び発見され
この世の光を再び受けたのか


それはきっと
あなたが持つ天性の美しさと気品
それがあなたを守り続けたのだろう・・・





++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



全国の欠け仏さまを愛する皆さま!!!!
こんにちは、欠け佛部部長です。








上の文章を打っていて、三回くらい恥ずかしくて死にそうになりましたが、

あの方に対する素直な気持ちです。



あの方・・・





そう・・・










松尾寺の千手観音トルソーさま!!!!!!!









千手観音トルソーさまこと焼損千手観音像(残欠)さま
文字通り、既に仏像の形は失われております。
真っ黒に焼け、なだらかな体をした柱といったような。




リンク先にお姿があります。
松尾寺WEBサイト






このお方は、昭和28年に本堂の改修の際、天井裏から発見されたのです。
布に包まれ、保管されていたのだとか。



その布をはぎ取った人・・・さぞかし驚いたことでしょう。
焼け焦げ、本来の姿を失い、しかし絶大な「ほとけ」のオーラにみなぎっているトルソーさまがそこに眠っておられたのですから!





詳しい研究は進んでいないようですが、恐らく、この松尾寺の最初の本尊である十一面観音であろうと推測されています。







このトルソーさまが広く世に知られるようになったのは、随筆家の白洲正子さんの著「十一面観音巡礼」がきっかけ。






それらの仏像と並んで、ひときわ目をひく彫刻があった。もはや彫刻とは呼べない、大きな木のかたまりである。頭も、手も失われ、全身真黒焦げに焼けただれているが、すらりと立ったこのトルソーは、いかにも美しい。私は立木観音というものを未だ見たことはないが、これは正しく自然の木に還元した菩薩の像である。地獄の業火に焼かれ、千数百年の風雪に耐えて、朽木と化したその姿は、身をもって仏の慈悲を示しているような感じがする。
                                 白洲正子「十一面観音巡礼」









この一文によって、この観音様は「トルソー」と呼ばれるようになったのです。
白洲さんは、鄙びたものへの美を見出す達人だと思います。
しかし、彼女のこの評価を知らなくても、あのお方の前に立てばその凄さが伝わってくること間違いなし!!
むしろ、仏教や仏教彫刻への知識のない人ほど、この仏さまの凄さを素朴に受け止められるのではないでしょうか!





ほっそりとしたスレンダーな体つきながら、どこか肉感的で菩薩的な慈愛が感じられ、
痛ましい姿であるのに、そのことを忘れるくらいの美しさと気高さ、
その前で人はただ息を呑み、止まった時間の中でただ硬直するしかないのです!!





(本当、今回の記事は書いていて恥ずかしいのですが、書かずにはいられない!)



私はこのお方に、今年の五月に世田谷美術館で開催された「白洲正子展」で始めてお会いしました。
賑々しい会場の中でも、一際目立っておられたトルソーさま。
ひと目見て、私はノックアウトされてしまったのでした。





そして今回、ホームである松尾寺で初公開とのお話を聞き、
行ってきました、松尾寺。
大和郡山市の、JR小泉駅から徒歩50分(歩いた!)(半分くらい山道だった!)(しんどいよ☆)
近鉄バスもあるのですが、最寄のバス停である「松尾寺口」からも徒歩30分。本数も少ないので、ここまで歩いてもそんなに変わらない気が、という。





d47e0012.JPG























松尾寺 山門



IMGP3265.JPG

























トルソーさまは普段は拝観できませんが、白洲正子生誕100年を記念して、特別に12月25日まで公開しているのです。




IMGP3269.JPG


























本坊で拝観受付を行い(300円)、宝蔵殿へ。
受付の印として、上記の白洲正子さんの文章がプリントされたものを頂きました。



宝蔵殿の扉をくぐると・・・・



薄暗い部屋の片隅に、あの方の横顔(顔はない)がー!!!!





天女だ・・・
神だ・・・
マザー・テレサだ・・・!
エルビスだ・・・!
仏だ・・・(正解)
(映画「Sin City」より)




私のフェイバリット仏さまは、興福寺国宝館の「銀造仏手」さまなのですが、
あのお方のことは一瞬忘れてしまいました。
それくらいです。






黒く、木の素材感が感じられるお体

胸のすぐ下の部分が盛り上がっていて、それがなんとも言えない体の線のバランスをとっていて。

清楚なのに女性的。

静かなのに躍動的。

こんなに、仏の姿からかけ離れているにも限らず、そこにほとけを見出すことのできるお姿。



完璧なほとけさまだと思います!!!



このお方に、この世で出会えて本当に嬉しい・・・!!
この奇跡に乾杯!!!!



通常は非公開なのが、本当に残念です。

割りと多く撮影されているので、お姿はチェックできるのですが・・・。(ちなみに、「あかい奈良」2011年秋冬号にも取り上げられています)
年に一度くらい公開されないかしら。



ああ、期間中にもう一度くらい会いに行こうかしら!?












Here’s looking at you, kid.










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一般的な仏像界のスター選手、老若男女、洋の東西を問わず愛されているのは言わずと知れた、興福寺国宝館の天平の美少年阿修羅さんです。


そして、全欠け佛部員(一名)のなかで随一の人気を誇るのが…阿修羅さんの同僚である八部衆の


五部浄です!!!


「五部浄…? 誰…!?」

いいんです、もう慣れましたそういう反応。
でもあんた、五部浄だけがわかんないんじゃないんでしょ?
どうせ国宝館で「阿修羅だワーイ!」って阿修羅しか見てないんでしょ?
わかってるよ!!!!



稀に

「迦楼羅は、かっこいいよね」

「沙羯羅タソ萌えゆす!!」

「畢婆迦羅さまの髭さいこうう!!」
(ごめんなさいこれは聞いたことがないです。てきとうにかきました)

なんて方がおられますが、まずは一番好き八部衆として

五部浄

なんて挙げる人には会ったことがありません。
むしろおられたらお友達になってください!
(あ、自分とお友達になるのが嫌でも、五部浄好きはやめないでねっ)


興福寺の八部衆のファン比率は、体感で

「阿修羅:8 迦楼羅:1 その他:1」
みたいな感じじゃないでしょうか?
(結構迦楼羅ファンは聞くので…)


そんなわけで、五部浄をよくご存知でない方もおられると思いますので、説明いたしましょう。

五部浄…八部衆の一番右側にいて、一人だけガラスケースに入っている上半身しかない仏さまです!!!

両腕もない!!(右腕は東京国立博物館蔵。ただし、後世につくられたものか)
きゃああ、ホラー!!

とはなりません。

彼の最大の武器は、憂いに帯びた表情。
阿修羅にも劣らない美少年フェイスなのです。
頭にかぶった象(鼻が欠けている)もプリティ!

ミステリアス美形乾闥婆
正統派美形緊那羅(彼も腕が欠け佛)
子役系美少年沙羯羅
中性的美少年阿修羅

と美形が多い八部衆のなかでも、阿修羅とタメ張るくらい美少年!!

しかも、母性本能が出るような少年っぽさのなかに、どこか男らしさも感じられる。
私としては、そんな端っこではなくて、センターに立っていただきたいのですが…。


さて、五部浄は欠けが著しいがためにガラスケースに入っているのですが、
下半身が残っていれば、一体どんな姿だったのか。
今はちょこんとケースに収まっていますが、
前に立ち、目をつぶると、凛々しい若武者の姿が浮かびませんか?(欠け佛部魔法『妄想』)

五体満足であったなら……と想いを馳せる。
それも、欠け佛さまの大きな魅力です。
完璧なお方だと、それで満足してしまって、相手の方に寄り添おうという気持ちが少なくなってしまいますから…

国宝館のグッズとかで、たまに五体満足な五部浄の姿を使ったものが見受けられますが、
わかってないなぁ…と思う次第です。



そんなわけで、五部浄は今日も元気に私たちのアイドルです!



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大阪に住む欠け佛好きな人。
好きなものは三つ。妹と鬼と欠け佛。
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